
先日、文化放送を聴いていたときラジオショッピング・コーナーに懐かしい名作洋画40作品がセットになった商品の案内があった。思うところがあり、早速オーダーしたが最初に鑑賞した作品は「名犬ラッシー」ならびに「風と共に去りぬ」と「若草物語」だった。
いまでこそ映画館に通うどころか、映画の新作情報にもトント疎い私だが、少年の頃には映画通で通っていた。とはいえ時代は昭和30年代の後半であり、映画館にいく金もなければ映画音楽のレコードを買うこともできなかった。だから映画情報はもっぱら学校の図書館にあった「スクリーン」と「映画の友」という月刊誌に頼るしかなかった。
また映画音楽は母親が自宅で内職をしていた一時期、ソノシートを雑誌の折込として指定ページのビニール袋へセットする仕事を請け負っていたことがあった。我々兄弟も手伝いをしたが、小遣いをもらえるわけでもなかったが楽しみもあった。それはソノシートは多い目に渡されるため必ず数枚は残るのだ。そして一枚ずつはもらえることになっていたからだ。
したがってそのソノシートで「子象の行進」や「太陽がいっぱい」「鉄道員」といった映画音楽を聞き覚えることになった。
現在と違い、情報は限られていたこともあり前記「スクリーン」と「映画の友」は文字通り隅から隅まで何回も読んだ。そのため映画のストーリーはもとより、監督や主演の男優、女優の名前とその数々の名場面などを鮮明に覚えたため、後年不思議なことと言うか…厄介なことに実際に映画を見た記憶なのか雑誌やソノシートから受けた情報なのかが自分でもわからなくなった(笑)。
しかし冷静に考えるなら、私が映画を自由に観ることが出来るようになったのは社会に出てからだ。上場企業勤務では一時期音協の取りまとめ役をまかされていたため、いわゆる「招待券」をいただき国内外の多くの映画をみた。
そればかりでなく劇団四季の日下武史さんなども髪が赤いままにチケットの販促のため会社訪問してくれた時代だった。担当だった私も生意気盛りでありその有り難みも分からない若造だった…。
とはいえ当時の新作映画はともかく1950年代から60年代あたりの名作映画は後にビデオで観たりレーザーでティスクを買ったりしたケースもあるものの、多くの作品記憶は実際の映像を見たものではなく雑誌などからの情報から受けた印象だったといってよい。
その後、どうしたことか映画館にまったく足が向かなくなり、新作映画にも興味を持てない時代が続いた。
もっぱらビデオやレーザーディスクでミュージカル映画やチャップリンの作品そしてマリリン・モンローの映画などを集めたが、「風と共に去りぬ」や「若草物語」、「駅馬車」そして「第三の男」などにしても映画そのものの知識や断片の映像は知っているが、実際に全編の映像を通しで見ていないのである…。
また偏見であることを承知の上だが、日本映画は特に見る気がしない。昔の名作と言われているものもそうだし現代の作品もわざわざ時間をとって観たいとは思わない…。
その理由を自分なりに考えるなら、映画という娯楽は夢の世界を体現させてくれるものであるべきで、例えば戦後の貧しい時代のシリアスな物語など子供心に多くの痛みを伴った生活だったから今さら覗きたくもないという心理が働くのかも知れない(笑)。
だから、例えば評判が良かったという「オールウェイズ三丁目の夕日」もちょっと観たけれどその時代に10歳の少年だった私としてはストーリーが中途半端で現実感がわかなかった…。
やはり最近の映画は面白くないなあという結論になってしまう。
しかしそうした偏屈なことを言っていてはそろそろマズイと思うようになってきた。
それは年齢的なこともあるし理屈っぽい言い方をするなら、知ることと感じることは違うことだと実感するに至ったし、自分にとって知っているつもりの名作映画にきちんと向かい合って鑑賞し直してみたいという気持ちになったのである。
いまはYouTubeでも一部古い映像が見られたり、レンタルビデオもあるものの繰り返し観たり一種の資料としても残しておきたいと考えてラジオ・ショッピングで知った「思い出の名作洋画DVD 40 枚組」をオーダーした。
※ラジオショッピングで購入した「思い出の名作洋画DVD 40 枚組」
本パッケージは「西部劇」「ミュージカル」「ジョン・ウェイン作品集」「戦争映画」「ファミリー&ファンタジー」「珠玉の名作」「ラヴロマンス」「サスペンス&ドラマ」に分かれ、4枚組DVDが収納されたものが10組で計40作品が含まれている。
収録作品をすべて記載するのは煩雑になるので避けるが「荒野のガンマン」「幌馬車」「駅馬車」「雨に唄えば」「名犬ラッシー」「子鹿物語」「シェーン」「巴里の屋根の下」「風と共に去りぬ」「若草物語」「ローマの休日」「旅愁」「シャレード」そして「第三の男」などなど、名画ファンなら必見の名作ばかりである。
とはいえ前記した理由からこの40編の名作のうち、私がビデオやレーザーディスクなどできちんと鑑賞したこのとある作品はお恥ずかしいことだが「雨に唄えば」「錨を上げて」「ローマの休日」「ナイアガラ」のたった4本だけだった…。
無論私が愛するマリリン・モンローの作品は「ナイアガラ」だけしか入っていないし、好きなミュージカル編には「雨に唄えば」「錨を上げて」を含んで4編しか含まれていない( ファミリー&ファンタジー編に入っている「アニーを銃をとれ」や珠玉の名作編に入っている「二人でお茶を」もミュージカルだが )。そしてビデオやレーザーディスクで全集を持っているチャップリンの作品はこの40編には1作品も含まれていない。
まあ、だからこそ購入する気になったわけだが、本シリーズはパブリックドメイン化した映画のマスターテープをデジタル化した製品でお世辞にも画質は良くないが、これまで記憶の中にあった印象と実際の映画がどれほど違うのかを楽しみながら鑑賞したいと思っている(笑)。
なお作品はすべて日本語字幕で日本語の吹き替えはない。
というわけで、いまさら偉そうなことを書けないが、数本を見た限りではやはりというか名作として語り継がれてきた作品は期待に反しなかった。
例えば「風と共に去りぬ」はご承知のように全編で231分にもなる長編だが早送りもせず(笑)見終わった時は時間の経過が短く感じるほどだった。
しかし時代が人を生むのだろうが、女優陣の美しいことったらない…。
若かりし頃のヴィヴィアン・リーとジャネット・リーは名前だけでなくちょっと区別がつきにくいが(笑)、”美人” のひと言では表せない美しさだし「名犬ラッシー」に子役として出演しているエリザベス・テイラーのメチャ可愛いこと…。
しばらくは至福の時を過ごせそうである。